今回のテーマは「グリーン周りからのアプローチ」です。
グリーン周りのアプローチは、ゴルフをしていて特に楽しい瞬間の一つですね。
ただ、アプローチは、楽しいと同時に難しいショットでもあります。
今回は、そんな難しいアプローチショットを簡単にする方法を見ていきます。
最初に結論
AW1本で!打ち方は2通り!
にんゴルでは、「アプローチショットで使うクラブは1本に決め、2種類の打ち方をしっかり身に付ける」ことを提案します。
そのクラブとはアプローチウェッジ(AW)、打ち方は「フェースを開いてボールを浮かせる打ち方」と「ヒールを上げてパターのように振る打ち方」です。
以下では、まずアプローチを打つ上で大切なことを確認してから、上の2種類の実際の打ち方を順番に見ていきましょう。
「グリーン周り」について
この記事で言う「グリーン周り」は、グリーンまで30y以下くらいのゾーンを指すことにします。
それ以上の距離は、ショット編で扱った普通のショットでカバーできます。
今回のテーマは「スイングのやり方」です。 初心者の方でも簡単にできて、100切りや90切りのレベルまで十分に通用するスイング方法をご紹介します。 最初に結論 スイングはできる限り「単純」なものにする にんゴルでは[…]
逆に、「これはパターで絶対乗るでしょ」と感じるくらいグリーンが近かったり、ライが良かったりする場面では、迷わずパターを使ってグリーンに乗せましょう。
つまり今回は、「微妙に手加減してグリーンに乗せないといけないが、パターで行けるほど簡単じゃない時」のことを考えていきます。
アプローチで大切なこと
怖いのはダフリとトップ
グリーン周りのアプローチの時、一番怖いものは何かと言われれば、ダフリとトップですね。
一番と言いましたが二個あります。どっちも一番怖いのだから仕方ありません。
パー4のホールを順調に進み、グリーン周りからの第3打。「これが寄ればパーが取れるぞ…!」と意気込んでのアプローチでダフって、ガックリと肩を落とす。
「いやいや仕方ない!気を取り直して!」…と挑んだ第4打で、
っとやってしまい、そのままグリーン反対側のバンカーへ。もっとひどい時にはOBになることも。
これは、忍三郎がまだスコアが100も切れていなかった頃に何度も経験したことです。思い出すと今でも吐きそうになります。皆さんもきっと身に覚えがあることでしょう。
トップしてグリーンから遠ざかったり、チョロって目の前のバンカーにコロリと入ってしまったりした時は、情けなさ過ぎての全身の力が抜けてしまいますね。
アプローチの時は兎にも角にも、ダフリとトップに気を付けなければいけません。
「寄せる」ではなく「乗せ損なわない」
アプローチショットを打つ時、私たちは「ベタピンで寄せたいな」とか「なんだったらチップイン決めてやりたいな」とか、大きな夢を描きます。
しかし、それがどれくらい難しいことであるかは、プロゴルフツアーの試合を見ればすぐに分かりますね。プロでもチップインなどそうそう出ないどころか、寄せることすら簡単ではないということが伝わってきます。
才能と努力の結晶であるプロ選手ですらそうなのです。
だとすれば、私たち初級者は、「寄せる」「決める」よりも遥かに手前の段階を目標にするのが当然です。
90切りの中級者を目指すレベルの私たちは、ダフリとトップを回避し、とにかくグリーンに「乗せ損なわない」ことを目標にしましょう。
そして、この目標を果たすために、にんゴルでは2つの打ち方を推奨します。
パターンA:フェースを開いてボールを浮かせる
一つ目は、フェースを開いてふわりとボールを浮かせる打ち方です。
これは、主にグリーンから10~30yほどの距離で選びたい方法です。
打ち方
まずは、この打ち方をご説明します。
練習場で、遊びのつもりで試してみることをお勧めします。
フェースを開いて打つアプローチ
- 使うクラブはAWです。
- ボールの正面に、両足の間は、靴一足分ほど離して立ちます。
- 両足のちょうど中間(身体の中心線)に接するようにボールを配置します。
- クラブのリーディングエッジを、時計の短針1時間分(30度)開きます。(グリップしてからフェースを開くのではなく、フェースを開いた状態でグリップしましょう。)
- 下の写真の黄色の部分をボールの下に滑らせる(=ダフらせるくらいの)イメージで振ってみます。
これだけです。
気持ちいい打感で、ボールがふわりと浮くショットになったのではないでしょうか。
そして、何球も打って試してみると、いつもよりも失敗が少ないと感じませんか?
ところが、ふわりと浮きはするものの、真っすぐの軌道よりも右側にボールが飛び出してしまいますね。
フェースが開いている、つまり通常より右を向いているわけですから、当然ですね。そこで、この打ち方をするときは、方向の調節が必要です。
具体的には、上の1~5の打ち方を、下の絵のような位置関係で行うことで、イメージと実際の飛球方向を概ね一致させることができます。
フェースの向きや飛球方向に惑わされず、あくまでも身体に対してスクエアにスイングする点に注意です。
スタンスの開きとフェースの開きが相殺して、上の図の、だいたい白矢印の方向飛球方向にボールが飛び出すというわけです。
ここで「だいたい」と書いたのは、人によってフェースの開き方や、シャフトと地面の角度などが違い、「ボールがどのくらい右に出るか」が異なるので、上のイメージと実際の飛球方向が完全に一致するとは限らないからです。
しかし、ここで思い出したいのは、私たちの目標が「乗せ損なわない」ことだということです。
この目標がしっかり果たせるなら、今のところは「だいたい」で満足しておきましょう。
アプローチを極めたい人は、ひとまず中級者になった後で、ゆっくりと研究を深めていけばよいのです。
本当にいい方法なのか
さて、やり方だけ先に紹介しましたが、この方法が本当に役に立つのかというのが気になるところだと思います。
そこで、この方法のメリットとデメリットを下に並べてみました。
メリット
- ミスが減る
「浮かせるショットはミスが多い」というのは誤解です。実際に試してもらえれば分かります。フェースを真っすぐに侵入させる通常の打ち方よりも、ダフリやトップが減ります。 - ラフに強い
ラフの場面でも、草にクラブを絡め取られることが少なくなり、フェースが抜けやすくなります。 - ゴルフ場の違いによる影響を受けにくい
グリーン上を転がる距離が短いため、芝の種類やその刈り具合といった、ゴルフ場ごとのグリーンの特徴の違いによる影響が少ないです。 - 自動的にハザード対策になる
普段から浮き球でアプローチしていれば、バンカーや高低差などの障害物を超えて乗せる場面でも、特別なことをしなくてよくなります。いつもどおりに、ふんわり打てばいいだけだからです。 - 距離感の精度を高めやすい
そこら辺の打ちっ放しで距離感を鍛えられます。忍三郎は、この点がかなり大きいと思っています。詳しくは後述します。
デメリット(?)
- 厳密な精度で方向を狙えないので、チップインが狙いにくい
- 浮き球なので転がりのラインがイメージしにくく、チップインが狙いにくい
- 横回転が混ざり、着地後の転がりに少し影響して、チップインが狙いにくい
この打ち方にはメリットはいっぱいあることがご理解いただけると思います。
デメリットは、チップインが狙いにくくなるというものばかりですが、私たちの目標は「乗せ損なわないこと」であり、初めからチップインは狙っていないわけですから、気にすることはありません。
それに、方向については、自分のスイングだとどういう向きに飛び出すかを練習場で確認することで、ある程度精度を上げられます。
本当にミスは減るのか
メリットとデメリットを並べてみると、なんとなく良い方法のように思えてきそうですが、「いやいや騙されないぞ、浮かせる打ち方はミスが多いという情報をいろんな所で見たぞ」という方が居られるかと思います。
嘘ではありません。本当にミスは減ります。ただし、それはフェースを開いて打つ場合の話です。
例えば、単にロフトの大きなロブウェッジなどのクラブをまっすぐ振ってボールを浮かせようとすると、かなりの技術を要求されます。
鋭いリーディングエッジが地面に突き刺さってザックリになったり、それを避けようとクラブヘッドを地面から浮かせすぎて、トップが出てしまったり、という具合です。フェースはきれいに抜けたけど、ヘッドがボールの下を潜り抜けてしまって全然飛距離が出ない、なんてこともあります。
「浮かせるショットは難しい」という説は、そういう視点で語られているのだと思います。
ところが、上で紹介した打ち方は、わざと少々ダフらせるくらいの気持ちで打っても、フェースが綺麗に抜けてくれます。むしろそのくらいが上手くいきます。
これは、リーディングエッジがナナメに入ってくるので、地面にザクっと突き刺さる形になりにくい上、接地してからしばらくは、バウンスが地面を滑るので、トップも起こりにくい、というからくりです。
理屈はこういうことなんですが、正直そんなのはどうでもいいですよね。実際やってみたときに、本当にうまくいくのかどうかが大事な問題です。
それを確かめるためにも、ぜひ一度練習場で、普段の自分の打ち方と比べてどちらが失敗しにくいか、試してみることをお勧めします。芝のある練習場なら、もっと実感しやすいことでしょう。
転がす方が距離感が出しやすいのではないか
「転がしアプローチの方が距離感が出しやすい」という意見をよく目にしますが、忍三郎は賛同しかねます。
確かに、そのようにおっしゃるプロの方は多いです。しかし、忍三郎が考えるに、それは、日常的にいろんなゴルフ場の本物のグリーンを使って練習することができるプロならではの意見であって、転がしアプローチがどのくらい転がるかを確かめるチャンスがラウンドの時しかないような、我々アマチュアゴルファーにそのまま当てはまる話ではありません。
皆さんは、実際にグリーンの20y〜30y手前に立った時、「転がした方が距離感が出しやすそうだな」という感覚を得られますか?
毎週のようにラウンドを回るゴルファーの方ならそう思われるかもしれません。しかし、月に一度ラウンドするかしないかの忍三郎の場合、たとえそこが花道であっても、そういう感覚は芽生えません。
ましてや、転がす軌道が斜面だったり、途中にわずかでもラフがあれば、結果はまったく予想がつきません。
それよりも、ポーンと浮かせてグリーンの手前半分か真ん中あたりに直接ポトリと落とす、これをできる技術があるなら、そっちの方が気持ち的には全然楽です。
そして、この技術は、芝のあるなしに関わらず、どの練習場でも(打席が1階でありさえすれば)磨いていくことができます。
また、上でも一度書きましたが、バンカーを飛び越えてグリーンに乗せる場合(特にピンが手前に切られている場合)などでは、浮かせるショットが必要なので、転がしアプローチをメインにする人も、結局は、浮かせるショットをどうにかして身に付けなけれなければなりません。
私たち普通の社会人には、なんでもかんでもやり込むような時間やお小遣いはありませんよね。
だったら思い切って、アプローチについては「浮かせるショット」に限られた時間を集中させてみるのはいかがでしょうか。
強さの加減が必要
今回紹介する打ち方は、パターの使えないグリーン周り数yから30yくらいまでの距離を、AW1本で攻略しようというものですから、当然、距離によって打ち方を変えなければなりません。
この加減は「インパクトの強さ」ではなく「スイングの幅」で行いましょう。
その理由は、そちらの方が明らかに再現性が高いからです。
バックスイングでヘッドを膝の高さまで上げたらキャリーが何y出るのか、腰の高さなら、肩の高さならどうか、自分なりの基準を作って、いろんな距離を打てるように練習しましょう。
レーザー距離計が手元にあれば、どんな練習場でもこの練習が捗ることでしょう。距離を計測できるデバイスは、ラウンドでのスコア改善のための超強力なアイテムですから、私たちの貴重な貴重なお小遣いをつぎ込む価値があります。
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バンカーショットでも使えます
実は、この打ち方は、「グリーン周りのバンカーショット」でも活躍します。
グリーン周りでバンカーに捕まってしまった時、我々はこんなことを考えますね。
「砂から出すためには強く振らないと。でも、当たりすぎて遥か彼方までかっ飛ばしたらどうしよう・・・。向こう側は崖だし・・・。あぁ、バンカーに入らなかった世界線に行きたい。」
世界線の移動によってバンカーを切り抜けた人は、まだプロの中にも居ないはずなので、アマチュアの私たちは自分の力で脱出するしかないわけですが、この時にも今回ご紹介した打ち方が役に立ちます。
ロフトの大きいSWを少し短く持ち、さらにフェースを開いておけば、強めに当たってもボールが高く上がるだけで、飛距離自体はそれほど大きくなりません。
飛びすぎる心配は無いので、安心して思い切って振っていくことができ、結果的には意外なほど簡単に脱出できます。
パターンB:ヒールを上げてパターのように振る
AWを使った打ち方の二つ目は、ウェッジのヒールを地面から浮かせて、まるでパターのように振るという方法です。
これは、パターンAよりも更に失敗が少なく、グリーンまで10y以内くらいの距離で活躍してくれる方法です。
他にも、ボールが芝の上ではなく、むき出しの地面の上にある時などは、パターンAの打ち方ではフェースがすんなりボールの下を滑ってくれず、ショットの成功率が低くなります。そんな状況でも、このパターンBの打ち方が大活躍します。
打ち方
こちらの方法についても、まずは打ち方をご説明します。
こちらも、ぜひ練習場で試してみることをお勧めします。
パター感覚で打つアプローチ
- 使うクラブはAWです。【パターンAと同じ】
- ボールの正面に、両足の間は、靴一足分ほど離して立ちます。【パターンAと同じ】
- 両足のちょうど中間(身体の中心線)に接するようにボールを配置します。【パターンAと同じ】
- クラブを短く、重力に任せて吊り下げたような形で、フェースを少し被せて持ちます。そうすることで、クラブのヒールは自然と地面から離れます。
- パターを打つイメージで振ってみます。
これだけです。
AWを握り、少しトリッキーなクラブの持ち方をしている以外は、パターと同じ構えと打ち方だと言ってよいでしょう。
失敗が少なくなる
この打ち方の良いところは、とにかく失敗が少ないことです。
まず、精神的な面として、振り方がパターと同じなので、ミスをするイメージ・恐怖があまり湧いてきません。
物理的な面で言えば、リーディングエッジが地面と触れ合わないので、ダフりようがありませんし、ダフりを恐れずに振れるので、トップの可能性もグンと減ります。
こちらも、振り幅で距離感のパターンをいくつか作っておくと良いでしょう。
方向性のクセが強いので要注意
この打ち方の注意点として、実際に試すと分かっていただけると思いますが、飛球方向のクセが結構あります。
ヒールを浮かせて、しかもフェースを被せているのだから、仕方ないと言えば仕方のないことです。
ですので、練習場で、フェースを被せる角度を変えながら何度も試し打ちをして、自分のイメージとぴったり合うような構えを作り上げましょう。
この打ち方は、方向性に少々クセがあろうとも、失敗の確率をほぼゼロにできる点が本当に大きいので、マイナス面を帳消しにて余りあるプラスの価値があると思います。
今回ご紹介した二つの打ち方を駆使して、ミスの確率を低く抑えながら、アプローチの楽しさを存分に味わいましょう。
それによって、更に少しでも、皆さんのゴルフの楽しみが大きくなってくれるといいなと思います。
まとめ
- アプローチで「寄せる」必要はない。大事なのは「乗せ損なわない」こと!
- 使うのはAW一本!
- 10~30yくらいの距離は「フェースを開いてボールをふんわり浮かせる方法」、10y以内は「ヒールを浮かせてパターのように振る方法」がおすすめ。