今回のテーマは、「パッティング」です。
わずか数センチのズレでカップを逃しただけでも+1打。パターの出来はスコアに直結します。
ゴルフ場や天候の違いに左右されず、いろんな状況下で通用するパターの打ち方についてご紹介したいと思います。
いつもより少し長い記事ですが、パターは本当に大切なので、忍三郎がお伝えできることのうち、皆さんの役に立つと思えたことは全て載せるようにしました。
最初に結論
パターは「振り幅」をパターン化する
パッティングでは、自分の「基本の振り幅」を5通り用意しておき、それらをゴルフ場にあわせて使っていきましょう。
そして、狙いを定めるときの合言葉は「決めるんだったらプロライン、寄せるだけならアマライン」です。
これはどういうことか、順番にお話ししていきます。
パッティングの距離感
いつでもどこでも同じ距離を転がせる打ち方は存在しない
ゴルフ場によって、使っている芝の種類や密度や育ち具合、刈り具合はまちまちなので、グリーン上でのボールの転がり方はゴルフ場によって千差万別です。さらに、天候によってもグリーンのコンディションは全く異なります。
いわゆる「グリーンが速い・遅い」というやつですね。
では、そういう中で「いつ、どんなゴルフ場のグリーンでも正確に3m転がせるパッティング」は可能でしょうか。
答えは「不可能」です。
その理由は、不可能だからです。ムリムリ。そんなの無理です。
パッティング以外のショットでは、自分のどのショットがどれくらい飛ぶかを予め知っておかなければなりませんが、パッティングの場合は、考え方が異なってきます。
あらかじめ決めておくのは「型」だけで、その振り方によってボールが転がる「距離」は、ラウンド当日に判明する、というやり方が理にかなっています。
練習では「型」を作り上げる
ある一つの振り方をしても、ゴルフ場によって転がる距離が変わってしまうので、距離のことは考えても仕方がありません。
そこで、転がる距離は分からないけれども、とにかく「振り方」だけ何種類か用意します。
ピン型のパターを使っている忍三郎は、次の5通りの「振り幅の基本パターン」を持っています。
忍三郎のパッティングの基本パターン
- 振り幅①:靴1つ分
- 振り幅②:靴2つ分
- 振り幅③:靴3つ分
- 振り幅④:くるぶしの高さ
- 振り幅⑤:スネの高さ
これらは、パッティングのテイクバックの幅を表しています。絵にすると次のような感じでしょうか。
振り幅①~③の図は、「靴の幅1個分~3個分振り幅」の意味が分かりやすいように表現しているだけで、「足を閉じて立たなければいけない」という意味ではありません。
振り幅④と⑤については、パターのヘッドの重さを頼りに振るようにして、手では力を加えないように意識することで、いつも同じ強さの打ち方ができるように工夫しています。
普段のパター練習の時、忍三郎はひたすらこの5つの幅の確認だけを行っています。
パッティングの練習をする時、それぞれの振り幅で「どのくらい転がるか」は全く重要ではありません。
一つ一つの振り幅がしっかり再現できること、つまり「同じ振り方をした時には、いつもボールが同じ距離だけ転がること」が最も大事です。
ラウンド当日の朝にその日の「距離感」を決める
忍三郎は、ラウンド当日には必ず、かなり早めにゴルフ場に到着するようにしています。そして、支度が済んだら、最低でも15分は練習グリーンで過ごし、次のことを行っています。
ラウンド当日の朝にやること
- グリーン上でなるべく平らに感じる箇所を2~3か所ほど選ぶ。
- それぞれの場所で、上の①~⑤通りの振り幅で打ち、転がった距離を調べる。
グリーンの性質や状態、もしくは天候などに関係なく、いつでも同じ距離だけ転がるようなパターの打ち方は存在しません。
だから逆に、自分が「こう」と決めている振り方が「今日、このゴルフ場ではどのくらい転がるか」を朝から情報として仕入れるようにするのです。
練習グリーン上で3か所ほど場所を変えてやってみて、その平均を取ることで、データの精度を少し高めることができます。
こうして、その日・そのゴルフ場での「距離感」を決めておけば、ラウンド中にグリーン上で頭が真っ白になるようなことはなく、いつも自信を持って自分のパッティングを行えるようになります。
ちなみに、ゴルフ場によって全く違うと書きましたが、忍三郎の振り幅の場合、結局以下のような距離感になることが多いです。
よくある距離感のパターン
(忍三郎の場合)
- 振り幅①:忍三郎の歩幅3歩分
- 振り幅②:忍三郎の歩幅5歩分
- 振り幅③:忍三郎の歩幅7歩分
- 振り幅④:忍三郎の歩幅9歩分
- 振り幅⑤:忍三郎の歩幅12歩分
忍三郎は、ボールの転がる距離を自分の歩幅を単位にして考えるようにしていますが、これは、後で触れる「歩測」と相性がいいのでお勧めです。
パッティングの方法
ここまで、パッティングの距離感についての考え方を見てきました。
ここからは、パッティングの構え方、打ち方、狙い方などについて、忍三郎の行っている方法や、気を付けているポイントをご紹介していきます。
パットに型なし
いきなり元も子もないですが、「パットに型なし」という格言もあるくらいで、忍三郎もパッティングについては、数えきれないほどの数の正解があると思っていて、堂々と皆さんにお勧めできるのは、上に書いた「5通りの基本の振り幅」の話と、下で紹介する歩測の話、プロライン・アマラインの話くらいです。
なので、その他の多くのことは「ちなみに忍三郎はこうしていますよ」というのをご紹介するつもりで書いています。
気に入る部分があれば試しに取り入れてみようかな、くらいでご覧いただければと思います。
狙いの決め方
忍三郎は、パッティングの時は、次のようなやり方で狙いを決めてアドレスしています。
忍三郎のパッティングの狙い方
① カップの中心に空想のボールを一つ思い浮かべる。この空想のボールがパッティングの目的地。
② グリーンの傾斜に応じて、この空想のボール(=目的地)を動かす。
③ 空想のボールの位置を決めたら、ボールの近く(ライン上ではなくライン横)に立ち、目線をボールの真上に持ってくる。
④ 眼球の動きだけで、空想のボールと足元の実際のボールを結ぶ直線ラインをイメージする。
忍三郎は、カップの大きさを基準に自分の狙いを決めると、狙いそのものがアバウトになり、結果パッティングも雑になると感じているので、空想のボールを使って、いつもこのようにピンポイントに狙いを絞り込むようにしています。
上の④から⑤の部分、パッティングで打ち出すラインを決める時には、ショットの時に行うエイミングと同じ要領で、ボールの少し先に目印(スパット)を見つけるという方法も有効です。エイミングのやり方はこちらでご紹介しています。
今回のテーマは、「ショットの狙いの定め方」です。 せっかく上手にスイングできても、狙いが悪ければゴルフは上手くいきませんから、狙いの定め方を知っておくことはとても大切です。 最初に結論 エイミングの癖を付ける に[…]
ただ、忍三郎自身は、パッティングの時にエイミングは使っていません。
綺麗なグリーン上でスパットを見つけるのに苦労したり、せっかく見つけても、それが大きめの枯れ草だったりすると、パッティングの邪魔になるので取り除かなければならず、あさっての方角へ打ち出してしまうことがしょっちゅうあったためです。
エイミング以外にも、ボールの補助線を使うことで、上の④と⑤が楽になるという方は多いと思います。
詳しくはこちらをご覧ください。
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構えと打ち方
狙いを決めた後の、忍三郎のパターの構え方と打ち方は次のような感じです。
忍三郎のパッティングの打ち方
① 足を閉じて立つ。(厳密には、かかとを数cm離した軽い「ハの字」です。)
② パターのシャフトを体の中心線に。ボールはその左側に接するように。
③ 肘が身体に付くように脇を締める。肩からクラブまでを固定して一体化。
④ 肩の動きでボールを打つ。テークバックは左肩を右側へ、ヒット時は右肩を左側へ押すようなイメージで肩を回す。
⑤ 打っている間、カップは見ない。※大切!
まず①ですが、これは自分の狙いが間違った方向に固定されてしまわないようにするためです。
忍三郎は、グリーン上でスパットを見つけるのが難しいと感じるので、スパットに頼らずに狙いのラインを設定していることを先ほどご紹介しました。
スタンスを広くとると、つま先を繋ぐラインのイメージが強く入ってしまい、狙いのラインを設定する時のノイズになってしまいます。どちらも空想の線なので、スペック低めの忍三郎の脳ではうまく処理できないのです。
そこで、足を閉じて立ち、足の向きにはあまり神経質になりすぎないようにして、パッティングの方向を決める微調整は上半身で行っています。
次の②は完全に好みの問題だと思います。忍三郎はこのポジションに打ち易さを感じます。
打つ動作の③と④は、ストロークの際に余計な動きが混ざることを極力少なくすることを意識しています。肩から下、クラブヘッドまでを一つのパーツだと思い、それを肩で操るようなイメージです。
最後の⑤は、パッティングの精度に大きく影響する大事なポイントです。ボールの行く先が気になり、それを追いかけようと頭を動かすと、(右利きの忍三郎は)右肩が身体の前に出てしまい、最初に設定したコースを大きく外れてボールを打ち出してしまうことになります。
よく言われている「カップインは耳で聞け」という格言には根拠があるのです。
パッティングのコツ
ここまでに、パッティングの距離感の考え方と、忍三郎のパッティングの狙い方、構え方、打ち方をご紹介しました。
以下では、他にいくつかパッティングの役に立つコツをご紹介しておきたいと思います。
歩測は必ずやろう
パッティングの前に、カップまでの距離を必ず歩幅で測る癖を付けることをおすすめします。
そうすることで、自分の基本パータンの振り幅のうちでどれが必要か、迷わず判断できます。
歩測を行う時には、決して自分や他のプレイヤーのラインを踏んで歩かないようにしましょう。
また、他のプレイヤーが考えている目の前を横切ったりすることもないように気をつけねばなりません。
ちなみに、忍三郎はカップの数歩手前で歩測をストップします。カップのすぐ近くをズカズカと歩いていると、他のプレイヤーはいい気持ちがしないでしょうからね。残り2~3歩くらいは目測でだいたい分かります。
グリーンをさっと見渡し、各プレイヤーとボールの位置を確認して「ここなら誰の邪魔にもならなそうだ」という場所を選んで手早く歩測を済ませ、マナーもスマートなゴルファーを目指しましょう。
プロラインとアマライン
パッティングの世界では、よく「プロライン」と「アマライン」という言葉が登場します。
これは、簡単に言うと、ボールがスライス・フックで横に曲がる時の「プロのパットの外し方」と「アマチュアのパットの外し方」を意味しています。ボールがカップの手前で曲がり切ってしまうのがアマライン、曲がり切れずにカップの奥に行ってしまうのがプロラインです。
一見、どっちも「惜しい!」で終わってしまいそうですが、両者には大きな差があると言われています。
アマラインは、カップ手前で横切った時点で、早々にカップインの確率が0%になります。一方、プロラインでは、ボールがカップ奥に外れる最後の最後まで、カップインの確率が残ります。
この確率の差は大事です。なぜなら、18ホールをこなしていく中で、この確率の違いが何打分かのスコアの違いとなって現れてくる可能性が十分にあるからです。
決めに行くパットはプロライン
プロラインを描いてパッティングするためのコツは、次の2つです。
プロラインを出すために意識すること
- 曲がりを大きめに読む
- ショートしないように距離を設定する
難しいことは何もなく、意識付けだけの問題ですね。
プロラインに挑戦して、ボールがカップの淵をクルッと回ってカップインしてくれた時は、「プロライン万歳!それを選ぶ自分万歳!」と心の中で叫び、カップからボールを拾い出したら、帽子を取って空想の観客の大歓声に応えましょう。
寄せるだけのパットはアマライン
プロラインが有利だというお話をしましたが、いつでも常にそうかと言われれば、そうでもない、というのがゴルフの深遠なる部分です。
実は、アマラインの方が望ましい時もあります。
それはいつかというと、「どうせ入らないロングパット」の時です。
プロラインを選ぶのは、カップインの可能性を少しでも増やすためでした。しかし、どうせ入らないロングパットであれば、アマラインを選ぶことで、次の1打で大きなアドバンテージを得ることができます。それは、次に「上りのパット」を打てることです。
曲がるということは、極端に言えば、ボールがその向きへ「転がり落ちている」わけです。アマラインで外れた後は、(よほどのショートでなければ)必ず「上りのパット」が残ります。
カップインを狙う1打で、「上り」は「下り」よりも遥かに有利です。
「下り」は、少しの力加減の差が大きな転がりの差になるため、ちょうどいい距離感で打つのが難しい上に、横傾斜による曲がりが「上り」の時より大きくなるため、短い距離でも難しいパットになってしまいます。
私たちレベルの経験値で「ロングパットがバシバシ決まる」などということはまずありません。
だったら、そこはスパっと割り切って次の1打への投資に回すという判断が、きっとスコアアップに役立ちます。
プロラインとアマラインを使い分ける
忍三郎にとって「7歩以内」は「がんばって決めたい距離」です。
この圏内に入ったら、プロラインを意識して、曲がりは少し多めに予想し、ショートしないように歩測よりも1歩分長い距離を打つようにしています。
「8歩~12歩」くらいまでは「夢を見てもいい距離」です。
このレンジでは、プロラインもアマラインも無く、読み通りに素直に打っています。
そして、それより遠い距離では、アマラインを意識するようにしています。
このように、皆さんも自分なりのプロライン・アマラインの使い分けのルールを決めておくことをお勧めします。
超ロングパットでパニックにならないために
最後に一つ残っているであろう大きな疑問は、超ロングパットはどうするの?という点だと思います。
ゴルフ場によっては、ありますよね。打ち上げのホールを進んで進んで、登り切った先に「え、公園?」と呟いてしまうほど広いグリーン。遥か彼方にゴマ粒のようにかすかに見えるカップ。こんな時、パターしか使えないことが足かせのようにすら感じられます。
にんゴルで今回提案した「5通りの基本の振り幅」は、最大でもだいたい12歩分の距離までしかカバーしていませんので、それより長い距離の時のパッティングをどうするかについても、ラウンドに備えて対策を準備しておくべきです。
にんゴルのお勧めは「まるでアプローチショットを打つかのような感覚でパターを振る」というやり方です。
超ロングパットを打つ時、忍三郎は、自分がAWを握っているつもりになって、カップまでのちょうど中間地点にキャリーでポトリと落とす感覚でスイングするようにしています。
もともと難しい条件下でのショットということもあり、それほど高精度ではありませんが、大けがをしないで済む無難なパッティングになることが多く、忍三郎の場合はこれが合っています。
他のやり方として、カップの周りに大きめの円をイメージして、その中に転がしこむような感覚で打つという人は結構多いです。
これはとても感覚的なところなので、唯一の正解はありません。大事なことは、自分にはこれが合っていると信じられる方法を予め用意しておくことです。
無策のまま本番のラウンドで超ロングパットに出くわしてしまうと、ショート連発や大オーバーでパニックに陥り、結果的に大叩きになるおそれがあります。
そうならないためにも、ピンチを無難に切り抜ける術を手の内に持っておきましょう。
グリーン上の感覚はどうやって養うの?
傾斜への対応は経験が必要
ゴルフのいろいろな要素をなるべく簡単・単純にしてお伝えする、というのがにんゴルの信条なのですが、悔しいことに、グリーンの傾斜への対応については、「経験を積み重ねるしかない」と言うほかありません。
グリーンの傾斜は曲線的で、単純な数字で表現できない感覚的なものなので、こればかりはどうしようもありません。
忍三郎が一つだけお伝えできるとすれば、ラウンドに出ずとも経験値を増やせる方法です。
それは、TVゲーム「みんなのゴルフ」をプレーすることです。
昔からプレイステーションでおなじみの、あの「みんゴル」です。
冗談のように感じられるかもしれませんが、忍三郎は大真面目です。
このゲームをプレーすると、ショットの部分はただただ自分の無力さを痛感し「現実がこんな上手くいくかよ、チッ」とボヤいてしまうのですが、パターの部分は、傾斜に対するボールのリアクションがものすごくリアルに作られていて、いい勉強になります。
「みんゴル」でパターを山ほど練習することで、現実世界でのパッティングのセンスをある程度磨くことができると思います。
本当にこれは冗談でも何でもなく、お小遣いとプレー機会が限られた私たちにとっての立派な練習ツールと言えます。
実際、忍三郎は、今でも「みんゴル」のパッティングのイメージを持って現実のラウンドに臨んでいますよ。
芝目を読むのは10年早い
上級者やプロの方で「グリーンでは芝目を読め!」という方が少なくありませんが、中級者入りを目指す私たちのレベルで、芝目を気にする必要はありません。
しばしばダブりやテンプラを繰り出すような私たちが「ほう、なるほど、ここは高麗ね・・・」などとブツブツ言っていても、気の利いた冗談だと思われるだけです。
普段、缶コーヒーのジョージアしか飲んでない人が、喫茶店で「やっぱりブルーマウンテンブレンドが一番好きかな」とか言ってるようなもんです。やっぱりも何も、ジョージアのあれは「エメラルドマウンテンブレンド」ですからね。
とにかく、中級者入りを目指す上では、芝目のことはいったん忘れて先に進みましょう。
もしも、芝目が原因としか考えられない形でパットが外れることがあったら、自然災害だと思ってその1打は諦めましょう。
パターなら家でも練習できます
自宅に居てふと気が向いた時、さっとパターマットを取り出して練習できる環境にしておけば、たとえラウンドに出ていない期間であっても、自分の中のパッティングの感覚を保ったり、磨いたりすることができます。
今回は、家でゴルフの練習をする上でのポイントと、それに役立つ道具について見ていきます。 最初に結論 必要な道具はたったの2つ。イチ押しはダイヤゴルフ! まず結論から行きます。 自宅練習用の道具としてにんゴルが推奨するのは[…]
まとめ
- 自分の「基本の振り幅」を5通り用意しておき、ゴルフ場にあわせて使っていこう。
- 歩測を使って、正確な距離を把握してからパッティングしよう。
- 狙いを定めるときの合言葉は「決めるんだったらプロライン、寄せるだけならアマライン」。