今回のテーマは、「ショットの強さ」です。
「ショットの強さ」は、「スイングの方法」と同じくらい大切で、スコアに直結する要素です。
最初に結論
常に6割の力加減
グリーン周りのアプローチやパター以外のショットは全て、「いつでもどこでも6割の力で楽に打つ」というのがにんゴルの提案です。
誰もが経験したことがあるであろう出来事の話から始めて、なぜこの「6割」の力加減が大切なのか、ご説明していきます。
スイングの「強さ」の考え方
朝イチ1発目の大OB
天気のいいラウンドの日の朝は最高に気持ちいいですよね。
そんな素敵な朝、第1ホールのティーショット。
「まずは準備運動のつもりで軽く打つかな~」なんてつぶやきながら、構えます。
しばしの静寂の後、胸に去来するのは…
の二文字です。
全身全霊を込めて放ったショットは、2009年のWorld Baseball Classic決勝でダルビッシュ有投手が相手のラストバッターを三振に切って取った時のスライダーくらいのキレで曲がり、森に消えていきます。
誰でも一度はこんな経験をされているのではないでしょうか??当然、忍三郎は何回もあります。
ただこれ、冷静に振り返ってみると、全くやる必要のない、意味不明なプレーなんです。
これは言わば、ダーツの試合で一投目を振りかぶって投げてるようなもんです。サッカーで言ったら、キックオフと同時にフィールド外にドーン!と蹴り出してるようなもんです。水泳で言ったら、スタートで隣の人のコースに飛び込んでるようなもんです。
これらに共通していることは何かと言えば、「やめときゃいいだけ」ということです。
OB回避したいならマン振りしなければいいだけ
マン振りOBを、本当に「やめときゃいい」で片付けられるでしょうか?
答えは「Yes」です。
OBを避けるためには「全身全霊を込めて振る」ことではなく「100yでもいいから手堅く前に飛ばす」ことに全神経を使えば良いだけだからです。極論を言ってしまえば、「ドライバーを小さくコツンと当てて100yだけ進め」と言われれば、誰でもほとんどミスなくできますよね。
マン振りがいかに不必要かつ無謀なプレーであるか、初級者のティーショットの結果としてありがちなシナリオをいくつか挙げながら考えてみましょう。あなたのドライバーは全力全開フルショットで240y飛ぶと仮定します(忍三郎はそんなに飛びませんから、うらやましい限りです)。
初級者のティーショットで
よく見るパターン
- マン振り会心の一撃 240yフェアウェイキープ
- マン振り240y級のOB
- 既にスコアが崩れており気負うものがないので力を抜いて楽にショット 210y前進
- ビビって3W掴むも結局マン振り 210y級のOB
- テンプラ 100y偶然フェアウェイ
- チョロ 20yラフ
- 空振り
さて、これらのシナリオに順位を付けるとこんな感じでしょうか。
1位:マン振り会心の一撃 240yフェアウェイキープ
2位:力を抜いて楽にショット 210y前進
3位:テンプラ 100y偶然フェアウェイ
4位:空振り
5位:チョロ 20yラフ
論外:3Wマン振りOB
論外:1Wマン振りOB
「空振り」よりも2打目が不利になる「チョロ」ですら、3打目が終わった後には300y以上は前進できているでしょう。
一方、マン振りOBの場合はティーショットの打ち直しが既に3打目です。
フルショット240yのゴルファーには逆立ちしても300yはムリなので、「空振りにも劣るチョロと比べても遥かに悪い結果」ということになります。順位うんぬんというより、論外ですね。
おまけに言えば、空振りやチョロが起こるのも、マン振りした時が多いです。
最高の結果である「マン振り会心の一撃240yフェアウェイキープ」を追いかければ、少なくない確率で「論外のOB」がついて回ります。
ドライバーを恐れて番手を下げようが、マン振りしている限り、やっぱり「論外のOB」がついて回ります。
コントロールが上手くできないくらい力いっぱい振るのがマン振りですから、そうなって当たり前ですね。しかも、これは練習でどうにかなる話ではありません。
ならば、そんなスイングは「やめときゃいい」のです。
再現性を大切に
にんゴルは、上で言うところの「力を抜いて楽にショット 210y前進」を常に狙うことを推奨します。
ボールがフェアウェイに残れば最高ですが、ラフでも、時にはバンカーでもいいのです。戻って打つことも罰打が付くこともないわけですから。他のシナリオと比べれば、まったく大した問題ではありません。
少し短い飛距離でもいいので毎回手堅く打って前に進んでいきましょう。
そして、これを実現するためのシンプルな方法こそが、常に6割の力で打つ、というやり方なのです。
実際、6割の力で打っても、飛距離はフルショットの8〜9割くらいは飛んでくれます。
それでいて、マン振りよりもはるかに方向の制御が利くようになりますし、上のシナリオたちの中で3位以下に名を連ねている「テンプラ」「空振り」「チョロ」「OB」、これら全ての確率を下げられます。
つまり、6割の力に抑えることで、ショットの再現性が劇的に改善するのです。そして、再現性こそがスコア改善の鍵です。
「6割ショット」は、距離の犠牲はそれほど大きくないにも関わらず、恩恵はたくさんあるわけです。
だったら、これを選ばない手はありません。
全力で打つショットは1回もいらない
セカンドショット以降は、なおさらマン振りの必要がありません。距離を稼ぎたければ、番手を上げればいいからです。
2打目は「グリーンに乗せるショット」からの逆算で考えますから、大抵の場合「1yでも遠くまで飛ばしたい…!!」なんていうことにはなりません。
例えば、400yの長いパー4のホールに臨むとします。グリーン手前にはバンカーがあります。
あなたは、1打目を6割の力で丁寧に打ち、210y前進してフェアウェイにボールを置くことができました。残り190yの2打目、5Wの全力ショットで乗せようとすれば、バンカーに捕まる可能性があるばかりか、何回かに一度の「論外のOB」が出てしまう可能性すらあります。
それでは、せっかく上手くいったティーショットが台無しです。なので、2オンは諦めることにしましょう。
さて、ここでどのクラブを握るかは、グリーン周りの状況や、あなたの得意なショットにかかってきます。
バンカーより手前のフェアウェイが広かったり、バンカーを迂回してアプローチするルートがあるなら、5Iや6Iで軽く打って、その辺に落とすことが手堅そうです。失敗しにくい上に、グリーンまでの距離を減らしておけば、3打目の方向のバラツキも小さく抑えられますからね。
もしくは、あなたがAWで正確に100y打つことに強い自信があるなら、2打目はAWで打って、次に再び得意のAWで打てる距離を残すということだって、立派な作戦です。
このように、2打目は何かの意図を持って加減したショットを打つケースがほとんどですので、「6割ショット」でちょうどその距離が出せるようなクラブを選ぶだけでよいのです。
パー5のホールでも、間にもう1打挟まるだけなので、この考え方はあまり変わりません。
ここまでに見てきたことを一言でまとめると、「ラウンドの中で全開フルパワーのショットを打たなければいけないシーンなど1回も無い」ということです。
ですので、「ラウンドではいつも6割の力で楽に打つ」ということを前提にして、日頃からそのショットの再現性を高めるという狙いを持って練習をし、それぞれの番手の飛距離を正確に把握しておくことで、着実にスコアを改善することができます。
このように、練習の目的や意味をハッキリさせることで、その練習は本番での結果に直接繋がるようになります。
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まとめ
- ショットはいつでもどこでも6割の力で楽に打とう。
ちなみに、ボールを上手に選ぶことで、あまりコストをかけずに飛距離を多少稼ぐことができます。
皆さんは、どのくらい意識的に、自分のゴルフボールを選んでいますか? ラウンドの朝に、「あれ、意外とボール少ないな」と気づいて、クラブハウス内のショップで割引セールになっているものを適当に買っている方、結構おられるのではないでし[…]