初心者の方にとって、はじめてのラウンドは心配ですよね。
ちゃんとプレーできるだろうか、周りに迷惑をかけないだろうか・・・気になることばかりだと思います。
そんな方々のために、今回は、当たり前のことも含めて、ゴルフの基本的なルールをまとめておきます。
ゴルフのルールは奥が深く、細かいところを挙げだすとものすごい量になりますので、ここでは「これくらい知っておくと、ラウンド時の大半は自分の知識と判断でプレーを進めていける。あまり他のプレイヤーの手を煩わせずに済む。」という理解度を目指して、代表的なルールをご紹介していきます。
1:ルールの基本
それでは、最初に基本的なルールを押さえた上で、ラウンドの時に適用することの多いものを中心に、具体的なルールを見ていきましょう。
コースの各部分の呼び名
ゴルフコースは、ティーショットを打つための「ティーイングエリア」、砂のトラップ「バンカー」、池などの「ペナルティーエリア」、カップが切られている「パッティンググリーン」、そしてそれ以外の「ジェネラルエリア」に分かれています。
ちなみに、「アウトオブバウンス」いわゆる「OB」は、コース上ではない(=プレーすることが認められない)エリアという位置づけです。
コースの各部分の名称
画像引用元:R&A USGA ゴルフ規則プレーヤーズ版(JGA)
プレー時に所持可能なクラブの最大本数は14本
15本以上持ってプレーした場合、1ホールあたり2罰打、1ラウンド最大で4罰打が課されます。
プレーの順番
最初のホールは、くじ引きや、ティーを投げて「ティーの向いた人から時計回り」などのやり方で、打つ順番を決めます。多くのゴルフ場には、最初のホールのティーイングエリアにくじが備えてあります。
第2ホール以降は、前のホールでスコアの良かった順に打ちます。前のホールでの打数が同じ人が居る場合は、前のホールで先に打っていた方の人が、次のホールでも先に打ちます。
ちなみに、各ホールで最初に打つ人は「オナー」と呼ばれます。
2:やってしまうと「罰打」となるプレー
ゴルフの反則の多くには、「罰打」と呼ばれるペナルティが伴います。
反則の種類を見ていく準備として、まずはこの「罰打」について知っておきましょう。
「罰打」について
ゴルフのプレーの中には、「これをやってしまうとスコアを+X点しなければならない」という種類の反則が存在します。そのような反則によるペナルティを「罰打」と呼びます。
その「数え方」について知っておきましょう。
ひとことで言えば「(実際にボールを打った回数)+(罰打数)」がそのホールのスコアになります。
例として、ティーショットでOBを打ってしまった場合を考えてみます。OBは「1罰打」です。
ティーショットがOB→ティーショット打ち直しで前進→アイアンで前進→ウェッジでアプローチ成功→2パットでホールアウトした場合、「実際にボールを打った合計回数」は「6」ですね。
これにOBのペナルティである「1罰打」の「1」を足します。
「6+1」で「7」がこのホールのスコアとなります。
ちなみに、罰打が「ペナルティ」であることに由来して、例えば「1罰打」を「ワンペナ」、「2罰打」を「ツーペナ」と称することが多いです。
それではここから、「罰打」が適用される主なパターンを見ていきます。
OB(アウトオブバウンズ)に打ち込んだ
OBになるショットを打った地点から打ち直し+1罰打となります。
とはいえ、ボールが飛んで行った場所でOBを確認して、またティーイングエリアまで戻って打ち直しをすることは現実的ではありません。
なので、「OBかな…」と思うショットになった場合は、同組の全員がティーショットを打った後で、「暫定球を打ちます」と宣言して、まさに「暫定的に」打ち直しの球を打っておきましょう。
暫定球を打って、前に進んでみた結果、最初に打ったボールがOBでないことが分かった場合は、暫定球は回収してしまってOKです。最初のボールを使い、2打目としてプレーを続けます。
公式試合などではなくプライベートでのプレーの場合、ゴルフ場によっては、ティーショットがOBとなった場合に、指定の場所まで前進して次を「4打目」としてプレーする「プレイング4」というルール設定をしている所も多くあります。
ウォーターハザード(池など)に打ち込んだ
そのままプレーすれば無罰ですが、多くの場合はプレー続行が不可能です。
そんな時は、1罰打と引き換えに救済を受けられますが、ハザードを囲む杭の色によって救済の種類が異なります。
杭が黄色の場合の選択肢は、①最後のプレー地点から打ち直し、または②直前のショットがハザードに入ったポイントとピンを結んだ直線上でピンよりも遠い側にドロップです。(ドロップというのは、膝の高さからボールをポトリと地面に落とすことを意味します。)
杭が赤色の場合は、更に③直前のショットがハザードに入ったポイントからクラブ2本分の長さの範囲内(ピンよりも遠い側)にドロップ、という選択肢が加わります。
黄色杭・赤色杭のハザードの救済措置のイメージについては、JGAが発行しているR&A USGA ゴルフ規則プレーヤーズ版に、次のような図解があります。
ロストボールになった
ボールを見失う直前のショットを打った地点から打ち直し+1罰打となります。
「林に突っ込んでいったな…これはロストかも…」というショットになった場合は、OBの場合と同じく、その時点で暫定球を打っておくのが安心です。
ロストボールの処理としては、ロスト地点から別のボールでプレー再開+2罰打という選択も可能です。
「暫定球を打っていなかったが、進んだ先でボールを見つけられなかった」などの場合、プレーファストの観点からこちらを選びましょう。
アンプレアブルを宣言した
アンプレアブルとは「unplayable=プレーできない!」という意味です。ジェネラルエリアにボールがある時、たとえば「木が邪魔でまともにスイングできない」といった場合には、「アンプレアブル」を宣言し、1罰打と引き換えに救済を受けることができます。
選択できる救済の種類は、①最後のプレー地点から打ち直し、②ボールとピンを結んだ直線上でピンよりも遠い側にドロップ、③ボールからクラブ2本分の範囲内でピンに近づかない所にドロップ、のいずれかです。
ボールがバンカーにある場合でも、アンプレアブルを宣言できます。しかし、救済措置として上の③を選ぶ場合には、バンカーの外まではボールを出せないので気を付けましょう。
2019年からの新ルールで、上の②を選び(1罰打ではなく)2罰打を適用する場合には、バンカーの外まで下がってボールをドロップすることができるようになっています。
アンプレアブルの救済措置のイメージについても、JGAのR&A USGA ゴルフ規則プレーヤーズ版が参考になります。
バンカー内の砂にクラブが触れた
2罰打となります。たとえ素振りの時でも、砂に触れてはダメなのでご注意を。
グリーン上でマークをせずにボールを拾い上げた
1罰打となります。気をつけましょう。
グリーン上で他プレイヤーのボールや道具にボールを当てた
「ぶつけた側」に2罰打が課されます。「ぶつけられた側」は元の位置にボールを置きなおします。
他の人が打った球を故意に止めた
止めた人に2罰打が課されます。こんなことをする人は居ないことを願います。
ちょっと寄り道…
アンプレアブルを「利用」しよう
お気づきの方もおられるかもしれませんが、OBなどの場合は問答無用で罰則が適用されるのに対して、アンプレアブルとは、「プレイヤーが宣言した場合に、罰打と引き換えに救済を得られるシステム」と見ることができます。
「バンカーで、あり得ないくらいボールが砂にめり込んでいる」
「木の根っこの隙間にボールが入っていて、まともに打てるはずがない」
こういったケースでは、ミスショットが積み重なる前に潔くアンプレアブルを宣言することは立派な作戦です。
「1打を費やして、絶望的な状況を脱出した」という状況を生み出せるツールだと思って、ここぞという時は勇気を出して1打の損を受け入れ、アンプレアブルを宣言しましょう。
3:ペナルティ無しのケース
空振り
意外かもしれませんが、ショットが空振りした場合も、実は「罰打なし」です。
ただし、空振りを「無かったこと」にしていいわけではありません。
空振りした1回のスイングを「1打」としてカウントしなければいけませんので、お忘れなく。
今のは空振りか、それとも素振りか。それはあなたの心だけが知っています。
打ったボールがカートに当たってしまった
この場合も罰はありません。カートに当たった後、ボールの止まった位置から次の1打をプレーします。
ボール周辺の落ち葉や小石を取り除く
スイングの邪魔になりそうな自然の障害物を取り除くことは禁止されていません。ただし、取り除いた際にボールが動いてしまうと、1罰打が課されますのでご注意を。(ちなみに、グリーン上の場合はボールが動いても罰無しです。)
「動かせる障害物」を取り除く
バンカーをならすためのレーキや、置き忘れられた傘などの人工物は、罰なしで取り除いてプレーすることができます。
これらを動かした結果ボールが動いてしまっても、罰なしで元の位置に置きなおしてプレーを続行できます。
「異常なコース状態」や「動かせない障害物」の回避
動物が作ったと思われる穴や、コースの一部だけにできている雨水の水たまり、カート道といったものは「異常なコース状態」と見なされます。また、排水溝のふたなどは「動かせない障害物」と呼ばれます。
これらのものがプレイヤーのスタンスにかかってしまったり、スイングの障害となる場合、「ニヤレストポイント」に基づき罰なしでの救済が受けられます。
JGAのR&A USGA ゴルフ規則プレーヤーズ版によれば、「ニヤレストポイント」の考え方は下の図のようになります。「ピンには近づかない」そして「ボールを動かす距離をとにかく短くする」ことがポイントです。
4:こういう時ってどうするの?
ボールがすぐに見つからない時
林などに打ち込んでしまって、OBではなさそうだけどボールが見つからないという時、「ボールを探す時間の目安は3分」と覚えておきましょう。見つからない時は、先ほど紹介した「ロストボール」になります。
同じ組のプレイヤーたちが、気を遣って一緒にボールを探してくれることもしばしばありますが、組全体のプレー進行の妨げにならないように気を付けなければなりません。
3分ほど探しても見つからない時は、仲間にお礼を言った上で、本人が潔く「ロストボール」を宣言し、速やかに次のプレーに移るように心がけましょう。
うっかりボールを動かしてしまった
クラブを構えた時にクラブがボールに触れたり、クラブがボールの近くの芝を動かしてしまったりして、ボールが動いてしまった場合などには、1罰打+ボールを元あった場所に戻して打つ、ということになります。
ボールを探している途中で偶然にボールを動かしてしまった場合は無罰です。
自分の行動ではなく、風などの自然現象が原因で目の前のボールが動いた場合も無罰です。この場合は、動き終えた位置からプレーを続行します(元の位置には戻しません)。
グリーン上で打った球が他の人に当たってしまった
その1打は取り消しとなり、元の位置からプレーのやり直しとなります。
5:「ルール」と同じく「マナー」も大切
今回は、ラウンドに出る前に知っておきたいルールを見てきました。
これくらい押さえておけば、ラウンド中のいろんな状況に対して、ある程度自分の知識で対処することができるはずです。
少なくとも、同組の仲間に対して何度も何度も「あの~、私どうしたらいいですか?」と尋ねて、彼らのプレーや思考を遮らずに済むと思います。
他のプレイヤーに迷惑をかけないため、そして自分の実力通りの正当なスコアを記録していくため、ルールを守ることはもちろん大切です。
さらにその上で、知っておきたいゴルフの基本的なマナーというものもあります。たとえば、「パターを打とうしている人のライン上に自分の影が入り込まないように立つ」などです。
これは、別にルールというわけではなく、影が入り込んだからといって罰則が適用されるわけではありませんが、プレイヤーがお互いに気持ちよくラウンドを回るために、マナーを守ることはルールを守ることとと同じくらい大切だと言っても過言ではないでしょう。
実際に、忍三郎がこれまでにご一緒してきた先輩ゴルファーは、皆さんそういう配慮をされていました。
別の回でマナーについてもまとめたいと思いますが、「自分はマナーを心得た」という自信の無い初心者の方にお勧めしたいのは、ラウンドのはじめに、同組の仲間へ次のように伝えておくことです。
忍三郎はゴルフを始めたばかりの頃、これが「マナーを知らない者のマナー」かな、と思ってやっていました。
大切なことは、自分だけでなく他のプレイヤーもゴルフを楽しめるように配慮すること、そして、その意思をはっきりと示すことだと思います。
本日は、ゴルフの基本的なルールについて見てきました。
今日ご紹介したルールを押さえておけば、ラウンド中の状況の大半を自分の知識で処理できるようになるはずです。他のプレイヤーに迷惑をかけてしまい、申し訳ない気持ちになる…なんてことも少なくできると思います。
自分だけでなく、参加しているプレイヤー全員がプレーを楽しめてこそ、そのラウンドは楽しくて清々しいものとなります。そのために、ルールとマナーをしっかり尊重してプレーすることを心がけましょう!
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上でご紹介しているアプローチの打ち方に関する記事は、このパッケージの一部です。
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興味を持たれた方は、ぜひ一度「にんゴルの90切りパッケージ」をご覧いただければと思います。