ゴルフスイングのアドバイスとして、もっともよく目にするもののひとつが、「ハンドファーストで打ちましょう」というものです。
今まさに、これを身に付けようと練習を頑張っている方は多いと思います。
今回は、「ハンドファースト、全然できないなぁ。スイングって難しいなぁ。」と悩みながら練習を続けている方へ、「もっと単純で簡単な考え方に変えてみませんか?」というご提案です。
最初に結論
ハンドファーストを意識する必要はない
結論から行きますが、スイングの時「ハンドファーストで打とう」と思う必要はありません。ハンドファーストで打つために特別に何かをする必要もありません。
忍三郎がこの手の記事の中で毎回お断りしていることですが、「ハンドファーストで打つことが間違い」というつもりは全くありません。
実際、多くのプロがハンドファーストでショットしていますし、ハンドファーストで素晴らしいショットが打てることは間違いないと思います。
しかし、「ハンドファーストを意識しなくても、ナイスショットはちゃんと打てる」というのが、今回お伝えしたいポイントです。
そもそもハンドファーストとはどういうものか、どんな利点があるのか、そして、にんゴルが「意識する必要なし」と結論付けたのはなぜなのか、以下で順番にご説明します。
ハンドファーストについて
ハンドファーストとは
ハンドファーストとは、グリップとクラブヘッドの位置関係に関するスイング技術のひとつです。
手元がクラブの動きをリードし、ヘッドよりも飛球線方向に先行した形のことを指します。
あらゆるゴルフ教材の中で、ハンドファーストでインパクトを迎えることはスイングの基本とされ、そのコツについて様々な説明がなされています。
ハンドファーストのメリット
ハンドファーストを説明する教材で、メリットとしてよく挙げられているのが次の3点です。
①飛距離がアップする
ハンドファーストはフェースが少し被った形、つまりロフトが少し立った形でボールに当たるので、(しっかりボールが高く上がりさえすれば、)ロフトを立てない場合と比べて飛距離が伸びます。
②インサイドアウト軌道のスイングになる
ハンドファーストによって、自然に「インサイドアウト軌道」のスイングになると言われています。
インサイドアウト軌道は、打球の弾道がドローになります。ドローは、ランまで合わせた飛距離が大きくなるので、好ましい弾道だという指導者の方が多いです。
③インパクトが安定する
「ハンドファーストだと、フェースがダウンブロー気味にボールへ侵入することになり、ミスヒットの可能性を下げられる」という話もよく見聞きします。これは、払い打ちの場合よりも、インパクト位置の「ズレ」の許容範囲が大きくなるためだと言われています。
忍三郎の実感として、はじめの2つはなるほどと思えるのですが、3点目だけは他の打ち方と大きな差があるとは思えず、正直あまりピンときません。
ハンドファーストを意識する必要がない理由
上で見たようなメリットがあると言われるハンドファーストですが、ここからは、にんゴルがこれを必要ないと結論付けた理由をご説明します。
ハンドファーストは古い概念
誤解を恐れずに言えば、現在は、ハンドファーストが必要不可欠な時代ではありません。
ハンドファーストは、「ダウンブロー」という技術とセットで語られることが多いのですが、ダウンブローとは、下の図のようなイメージで、スイングの最下点をボールの少し先に設定して、そこへ向かう途中でボールを打つというスイング方法です。
このダウンブローは、少なくとも昔のゴルフでは長めのアイアンを打つために必要不可欠な技術でした。
そして、ダウンブローは、その仕組み上、ハンドファーストになっていなければ成り立ちません。
長年、「ハンドファーストが重要だ」と言われてきた大きな理由のひとつは、「ゴルフにおいて重要なダウンブローと切っても切れない関係にあるから」なのだと思われます。
しかし、ダウンブローは、もはや昔のように必要不可欠な技術というわけではありません。
その理由を簡単に言えば、道具の進化によって、ダウンブローではない打ち方(レベルブロー)でもきちんとクラブの性能が発揮されるようになったからです。
詳しくはこちらの記事で説明しています。
ゴルフのアドバイスで、よく「アイアンはダウンブローで打ちましょう」というのを見聞きします。 100切りや90切りを目指すくらいのレベルのゴルファーを想定した場合、果たしてこのダウンブローというは本当に良いものなのでしょうか。 […]
もはやダウンブローが必須でないのですから、ハンドファーストも「なくてはならないもの」ではないはずなのです。
シンプルなスイングでもしっかり打てる
実際、ハンドファーストを全く意識せずとも、シンプルなショットで普通にいいゴルフができます。
にんゴルでは、初心者・初級者の方が手っ取り早く100切り・90切りを果たせるようになるために、ごく簡単な3つのコツだけでできるスイングをご紹介しています。
今回のテーマは「スイングのやり方」です。 初心者の方でも簡単にできて、100切りや90切りのレベルまで十分に通用するスイング方法をご紹介します。 最初に結論 スイングはできる限り「単純」なものにする にんゴルでは[…]
このスイングでは、ハンドファーストもダウンブローも必要ありません。
ダウンブローの回でも述べましたが、忍三郎は「にんゴル提案の打ち方こそが正解だ」などと大げさなことを言いたいのではありません。
「こんなスイングでもぜんぜん通用しますよ」ということが言いたいのです。
世の中のほとんど全てのゴルフ教材はハンドファーストを正解としていますので、今回のご提案が多くの方にとって胡散臭く見えることも覚悟していますし、関心のない方へこの方法を押し付けるつもりもありません。
繰り返しになりますが、ハンドファーストで素晴らしいショットが打てるというのは事実だと思います。しかし、それが上手くできなくて悩んでいる方が、いつまでも立ち止まってこだわり続けなければいけないものでもないと思うのです。
そんな悩みを抱えていたり、そのせいでゴルフがつまらなくなってしまいそうな方がもしおられたら、「ものは試し」程度に、とことんシンプルなスイングの方法を試してみていただければと思います。
忍三郎は、自身の90切りの実体験も踏まえた意見として、ハンドファーストも特に意識しないレベルブローのスイングが、私たちアマチュアゴルファーにとって立派な正解のひとつになり得ると思っています。
簡単なスイングでも、ちゃんとスコアはまとまります。そして、ラウンドの日に一日中うつむいて細かいスイング理論のことばかり考える必要もなくなります。
ゴルフ場のおいしい空気や、ゴルフ仲間との他愛ない話など、皆さんが「ゴルフは楽しいな」と思いながら過ごせる時間が少しでも多くなるなら、それこそが素晴らしいことなのではないかと忍三郎は思うのです。
まとめ
- スイングの時、ハンドファーストを意識する必要はない。それでも十分にショットはうまくいく。