ゴルフスコア100切り・90切りを目指すくらいのレベルの方を対象に、「考え方だけでスコアアップ」のシリーズをお送りしています。
ティーショットからパットまでの1打1打について、技術面や体力面とは関係なく、単に「考え方」を変えるだけでスコアアップを実現できるポイントに注目していきます。
今回は、パッティング編です。
スコアアップにつながるパッティングの「考え方」を見ていきます。
最初に結論
「自動化」+「見極め」
100切りや90切りを目指すゴルファーの方は、パッティングの時には、以下のようにパッティングを「自動化」する部分と、「見極め」によって行動を変える部分を組み合わせた考え方で臨むことをおすすめします。
自動化する部分
- 「歩測」と「振り幅のパターン化」
- 「傾斜による距離感の補正」
見極めてプレーを変える部分
- プロラインとアマラインの使い分け
- 決めに行くなら「1歩分強め」に
以下では、上に挙げたそれぞれのポイントを詳しくご紹介し、それらがなぜスコア改善に役立つのかご説明していきます。
パッティングの「自動化」
ここで言う「自動化」というのは、「あらかじめ用意した手順に従って機械的にパッティングを行う」という意味です。
場面ごとに悩むのではなく、自動化できる部分は極力自動化してしまうことで、調子の波に左右されにくくなり、その結果としてスコアが安定してきます。
ここから、「自動化」できる具体的なポイントを見ていきます。
「歩測」と「振り幅のパターン化」
パッティングの自動化の第一歩として強くおすすめしたいのが、パッティングの残り距離を歩いて測る、「歩測」を行うことです。
忍三郎は、10歩以内の距離では必ず歩測を行うべきだと思っています。
(10歩を超える長い距離のパッティングは、どのみち感覚で打つしかないので、必ずしも歩測を行う必要はありません。)
自分の歩幅で何歩分の距離が残っているのか、正確に把握しましょう。
次に、この「歩測」と組み合わせたいのが、パターの「振り幅のパターン化」です。
「転がす距離」ではなく、あくまでも「振り幅」をパターン化します。
なぜ「振り幅」をパターン化するべきなのか、そして、それをどう「歩測」と組み合わせてパッティングに臨めばいいのか、こちらの回で詳しくご説明しています。
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「傾斜による距離感の補正」
上でご紹介した、歩測と振り幅の自動化に加えて、傾斜による距離感の補正もある程度自動化できます。
パッティングの世界では、物理学に裏付けられた情報として、「標準的なグリーンでは、傾斜による転がりの差は、高低差の約10倍になる」というものがあります。
分かりやすいように例を考えてみましょう。
傾斜による距離感補正の例
あなたはこれから、残り10mの距離をパッティングするとします。
ボールの位置はカップよりも10cm高くなっているとします。
10mからボールとカップの高低差の約10倍、すなわち約100cm(約1m)を差し引くと9mですね。
つまり、この場合は「水平なところで9mのパットを打つ時の強さ」でパッティングすると、ちょうど良い距離感になる、ということです。
グリーンの転がりが早いか遅いかで多少の違いは出てきますが、この情報は目安としてとても役立ちますので、グリーンに立ち入る前に、グリーン全体を外から眺めて、ボールの位置とカップの位置の高低差を観察する習慣を作りましょう。
先ほどの「歩測」で確認した距離に、この「高低差×10」という補正を加えて、その結果にぴったりの「振り幅パターン」でパッティングすることで、調子の良し悪しに左右されず、スコアが安定するようになります。
以上、「なるべく考え事をせずに機械的にパッティングをするための要素」について見てきました。
パッティングの「見極め」
ここからは、状況を見極めてプレーを変える要素について見ていきます。
状況の見極めとは、ひとことで言ってしまえば、これから打つパットが「決める1打」なのか「次で決めるための1打」なのかという判断です。
その具体的な要素を2つご紹介します。
プロラインとアマライン
状況を見極めてプレーを選ぶ要素のひとつ目は、「プロライン」と「アマライン」です。
これは、簡単に言うと、パッデイング時の「プロの外し方」と「アマチュアの外し方」を意味しています。
ボールがカップの手前で曲がり切ってしまうのがアマライン、曲がり切れずにカップの奥に行ってしまうのがプロラインです。
両者には大きな差があると言われています。
アマラインは、ボールがカップ手前を横切った時点で、早々にカップインの確率が0%になります。
一方、プロラインでは、ボールがカップ奥に外れる最後の最後まで、カップインの確率が残ります。
つまり、「決めに行くパット」では、プロラインを意識してパッティングのラインを読むほうが有利なのです。
18ホールをこなしていく中で、この確率の違いが何打分かのスコアの違いとなって現れてくる可能性は十分にあります。
ただし、常にプロラインを意識すれば良いかと言えば必ずしもそうではありません。
実は、アマラインを選ぶ方が有利な状況もあります。 それは、ロングパットの時です。
プロラインを選ぶのは、カップインの可能性を少しでも増やすためでした。
しかし、入る確率がゼロに近いロングパットの時は、上記の利点を捨ててアマラインを選ぶことで、あるアドバンテージを得ることができます。
それは、次に「上りのパット」を打てることです。
曲がるということは、極端に言えば、ボールがその向きへ「転がり落ちている」わけです。
アマラインで外れた後は、(よほどのショートでなければ)必ず「上りのパット」が残ります。
カップインを狙う1打で、「上り」は「下り」よりも遥かに有利です。
「下り」は、少しの力加減の差が大きな転がりの差になるため、ちょうどいい距離感で打つのが難しい上に、横傾斜による曲がりが「上り」の時より大きくなるため、短い距離でも難しいパットになってしまいます。
決めるのが難しい長めのパットは、スパっと割り切って次の1打への投資に回すという判断は、きっとスコアアップに役立ちます。
「決めるんだったらプロライン、寄せるだけならアマライン」という意識で、グリーン上の状況を見ながら判断していきましょう。
ちょっと寄り道
ロングパットでもプロライン?
にんゴルでは、「ロングパットはアマラインで」とおすすめしていますが、これが正解と断言するつもりは全くありません。
「ロングパットでもプロラインを意識すべき」という考え方も成り立ち得ます。
理由としては、その1打でのカップイン確率を上げられることや、たとえ外れても、カップを通り過ぎた後のボールの転がりを観察することで、「返しのパットの曲がりのライン」の大きなヒントを得られることが挙げられます。
ロングパットの話に限らず、肝心なのは「自分なりの根拠を持ってひとつひとつのプレーを選択していくこと」だと思います。
そうすることで、うまくいかない時や上達に悩んだ時にも、何を改善するために自分のプレーをどう変えるべきなのか、自信をもって決断を下していけると思います。
決めに行くなら「1歩分強め」に
状況を見極めてプレーを選ぶ要素のふたつ目は、「決めに行くパットでは、1歩分長めの距離感で打つ」というものです。
理由はいたってシンプルで、「届かなければ絶対に入らないから」です。
ただし、これもプロライン・アマラインの時と同じく、「常にカップをオーバーさせる強さで打てばいい」という単純な話ではありません。
忍三郎としては、決まる確率の低いロングパットや、傾斜が急だったり複雑だったりしてラインが読みにくいパットの時は、次の1打に向けて少しでもカップに近い位置にボールが届いてくれるように、ジャストの距離感で打つことをおすすめします。
まとめ
スコア改善につながる「パッティングの考え方」のコツは、「パッティングを自動化する部分と、見極めによって行動を変える部分を組み合わせる」こと。
<自動化する部分>
●「歩測」と「振り幅のパターン化」
●「傾斜による距離感の補正」
<見極めによって行動を変える部分>
●プロラインとアマラインの使い分け
●決めに行くなら「1歩分強め」に
いかがだったでしょうか。
パッティングの時に、何から何まで感覚任せにしていると、調子の良し悪しに左右されて、スコアが大きく変動しがちになってしまいます。
パターが苦手な方やパターの好不調の波が激しいという方。
「なるべく考えごとをせずに自動的・機械的に処理する」という原則に立った上で、「この1打で決めにいくのか否かを見極めてほんの少しディテールを変える」、そんな考え方でパッティングに臨んでみてはいかがでしょうか。