ゴルフにはトラブルがつきものです。
ボールがバンカーに入ってしまった、深いラフに捕まってしまった、木や枝に行く手を阻まれてしまった、などなど。
できればそのようなトラブルとは関わりたくないところですが、18ホールのラウンドの中で、何もトラブルが無いなんてことはまずありません。
むしろ、「トラブルとどう向き合うか」がゴルフの醍醐味のひとつだとさえ言えるかもしれません。
何の難しさもないホールばかりをプレーしてもきっと楽しくないですからね。
今回のテーマは、そんなトラブルショットに臨むときの考え方です。
最初に結論
トラブルショットでは高望み禁止
にんゴルが対象としている「90切りを目指すゴルファー」は、トラブル時、奇跡のスーパーショットを狙ってはいけません。
「狙わない方が良い」ではなく「狙ってはいけない」です。
なぜなら、その勝負があまりにも割に合わないからです。
その理由をこれから見ていきましょう。
トラブルショットで高望みすべきでない理由
なぜ、「奇跡のスーパーショット」を狙ってはいけないかを理解するために、トラブルに出くわした時、「どんな結末」があり得るかをちょっとシミュレートしてみましょう。
絶対に2打以上得することは無い
トラブル時、奇跡的にスーパーショットが決まったとして、私たちが得するのは、「リカバリーショットのために費やさずに済んだ1打」です。
どんな時でも、得するのは1打だけです。2打以上得することは絶対にありません。
具体的なケースを考えると分かり易いです。
距離の短いパー4のホールのティーショットでバンカーに打ち込んだとしましょう。
ここでリカバリーに徹するなら、「バンカーから一度安全な場所へ脱出して、次の1打でグリーンに乗せる」というところです。
ここでイチがバチかの賭けに出て、バンカーからグリーンを狙って大成功した時、得をするのは1打です。
「一度安全なところに逃げるための1打」を節約したことになるからです。
しかし、既に1打を打ってバンカーに入っているわけなので、そこから何をどう頑張っても、「1オン」という成績は残せません。つまり、上の賭けで2打以上の得を勝ち取れる可能性はゼロなのです。
損失の可能性は無限大
逆に、イチかバチかの賭けに敗れ、失敗した時はどうでしょうか。
上の例で行けば、「グリーンオンを目指して鬼の形相でフルスイングした結果、大量の砂を空へと巻き上げ、ボールは10cmくらいしか動かなかった」とかいうパターンですね。
この場合、「無意味に終わった1打」がスコアに加算され、依然ボールは砂漠の中です。
むしろ、ボールがバンカーのアゴに近付き、先ほどよりも悪い状況になっているかもしれません。
つまり「2打、3打とドツボに嵌る可能性はいくらでもある」ということです。
これは、バンカーに限らずあらゆるトラブルに当てはまります。
ボールが木の枝にぶつかって林からの脱出に失敗したら、クラブがラフに負けてしまい、当たり損なったボールがさらに深い茂みへ迷い込んだら、はたまたOBになったら、いったいどうなるでしょうか。
1打の損どころではありませんね。
イチかバチかの勝負は割に合わない
上でシミュレートした通り、トラブルショットでは、得する可能性があるのは1打だけなのに、損失の可能性は青天井です。
しかも、いま話題にしているのは「トラブル時のショット」なので、ショットそのものの難易度が高いです。
そこで賭けに出た場合、結果がどちらに転ぶ確率が高いかは言うまでもないですね。
ひとつでも大叩きのホールが出てくると、90切りは一気に難しくなりますから、わざわざ自分に不利な選択を「してはいけない」のです。
じゃあ、どうすればいいの?
トラブルを脱出することだけを考える
「賭けに出るな」というならどうすればいいのか。この答えもまた超シンプルです。
そのトラブルを1打で脱出することだけに集中すればいいのです。
上で見た通り、トラブルショットに臨む時、私たちは何打も損する可能性があり、大ピンチなのです。
その状況を自覚して、「1打でこの状況を乗り切れるなら安いもの」という考え方で行きましょう。
アンプレアブルを適用する勇気
トラブルの中には、「バンカーで、あり得ないくらいボールが砂にめり込んでいる」、「木の根っこの隙間にボールが入っていて、まともに打てるはずがない」といったケースもありますね。
このような場合、1打で抜け出すことに集中しても、上手くいく可能性はとても低いです。
そんな時は、こちらの回で扱っているように、「アンプレアブル」を宣言することも勇気ある選択と言えます。
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アンプレアブルを宣言すると、1罰打が付いて、さらに脱出の1打を打つことになるので、トラブル脱出までに2打を費やすことになりますが、それでも、元々の状況で強引にプレーした場合に陥る可能性のある「悲惨な結末」と比べれば、はるかに安上がりな結果と言えるのではないでしょうか。
トラブルに陥らない努力も大切
元も子もないですが、トラブルに陥らずに済むならそれが一番です。
先ほどの例で行けば、「バンカーに入るかもしれないショットを打ったこと」がそもそもの間違いだった可能性があります。
バンカーを避ける方向を狙ってティーショットを打てば良かったのかもしれませんし、「距離の短いパー4」なのですから、バンカーまで届かない番手を握れば、危険を完璧に避けつつ、しかも2オンの可能性は残せたかもしれません。
それに、下の記事でご紹介しているように、スコア90切りを目指す私たちのレベルでは、無理やり2オンを狙う必要はないのです。
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不用意なショットでトラブルに足を突っ込み、そこで無謀な賭けに出て大叩きする、というパターンに自ら進んでいくことにならないよう、最初の一打から大切に、落ち着いてプレーしましょう。
まとめ
- トラブルショットは「1打で抜け出す」ことに集中。ミスを取り返そうと無謀な賭けに出てはいけない。
- トラブルショットではなく「トラブルに陥らないための工夫」を頑張ろう