ゴルフの初心者・初級者の方、クラブセットを買ったばかりの方などは特に、「この十数本のクラブ、全部上手に打てるようにならないといけないのか…」と先が思いやられることはありませんか?
実は、少なくとも100切りくらいのレベルまでなら、なんでもかんでも一生懸命に練習する必要はありません。
何本かの「得意クラブ」を作り上げることで、効率的にスコアアップしていくことができます。
今回はそんな、「得意クラブ」のお話です。
最初に結論
「セカンドショット用」と「グリーン狙い」用に各1本の得意クラブを作って、コース戦略の軸としてなるべく頻繁に使っていくようにしましょう。
以下では、「得意クラブ」を作るとはどういうことか、そして、どんなクラブを選ぶのがおすすめか、順番に見ていきます。
「得意クラブ」を作る
「得意クラブ」とは?
今回取り上げている「得意クラブ」とは、自分が「振り慣れている」「特にうまく打てる」と自信を持てるクラブという意味です。
「セカンドショット用」と「グリーン周りのアプローチ用」に1本ずつ得意なクラブを持っておきたいところです。
ラウンド中、ショートホール以外は必ず「セカンドショット」があり、遠くから1発でグリーンに乗せない限りは毎ホール必ず「アプローチ」を打つことになりますからね。
頻繁に出くわすシーンにこそ、得意クラブで臨みたいところです。
何か意味あるの?
得意クラブを作る場合、的を絞って練習できるので、ただなんとなくすべてのクラブを練習するよりも効率よくスコアアップしていくことができます。
クラブセットは最大14本とルールで決まっていますが、使いどころの固定された特殊なクラブであるドライバーとパター以外のクラブは、状況や自分のしたいプレーに応じて、選択の幅・自由度があります。
それら10本以上のクラブをすべて「同じくらいの得意さ」で振れるようになるのは大変です。
もともと自分に向いているクラブとそうでないクラブがあるでしょうから、苦手なクラブの練習となれば、なお大変です。
そこで、クラブセットの中に、「自分の得意なクラブはこれ!」と言える少数精鋭、すなわち「得意クラブ」をあらかじめ作っておくのです。
そして、ラウンドの中で、複数のクラブが選択可能な場面に出くわした時にはできるだけ「得意クラブ」を選ぶようにします。
そうすることで、苦手なクラブを振る回数が減り、それによるミスショットの回数が減り、結果としてスコアが良くなるというわけです。
しかも、単にスコアが良くなるだけではありません。
「パターとドライバー以外のすべてのクラブ」を練習する場合と比べて少ない量の努力で、それと同等のスコア改善が期待できるというメリットもあります。
下の図はイメージですが、灰色の面が「すべてのクラブを頑張って練習する場合」を、赤色の面が「7番アイアンとアプローチウェッジを集中的に練習する場合」を、それぞれ表しています。
ざっくり言えば、これらの面積の大きさが努力の量に比例しています。
赤色の面は灰色の面よりも明らかに小さい(=努力の量は少ない)ですが、灰色の面よりも飛び出した2本のクラブをたくさん使ってプレーすれば、灰色の面の人と同等以上のスコアでラウンドを終えるチャンスがあります。
どうやって「得意」になる?
得意クラブを作り出す方法はシンプルで、「これ」と決めたクラブを練習場で頻繁に使うだけです。
にんゴルでは、初心者・初級者の方が効率的に上達するために、3つの代表的な練習パターンをおすすめしていますが、それぞれの練習の中で、「得意」になりたいクラブには多めに時間と球数を割くイメージです。
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「得意クラブ」のおすすめ
セカンドショット用
にんゴルのおすすめは7番アイアンか8番アイアンです。
その理由を簡単に言ってしまえば「使用頻度と難易度のバランスがちょうど良いから」です。
まず「使用頻度」について、これらのクラブはラウンド時に出番が多いです。
たとえば、パー4のホールのセカンドショットで2オンを狙う時やグリーン周りまで前進させたい時、ショートホールの1打目、ミスで隣ホールに打ち込んだ後の復帰の1打など、多くの場面でクラブの選択肢に入ってきます。
せっかく他のクラブよりも多くの時間をかけて「得意クラブ」にしていくのなら、ラウンドの中で特に出番の多いクラブを選びたいところです。その方がスコアに好影響を与えやすいですからね。
次に「難易度」について、7番アイアンや8番アイアンは、長いクラブよりも、実際に「得意」になれる可能性が高いです。
長めのクラブは当てるのが難しい上に、ボールが遠くまで飛ぶ分だけ打球の左右へのばらつきも大きくなりやすいです。
そのため、厳しい話ですが、たとえ「3番ウッドを得意クラブにしたい」と思っていても、実際に「得意」と言えるほど安定したショットが打てるようになれるとは限らないのです。
このように、「使用頻度」と「難易度」を考えると、7番・8番アイアンあたりはちょうど良い狙い目だと言えます。
グリーン周りのアプローチ用
にんゴルのおすすめはアプローチウェッジ(ロフトは50度~52度くらい)です。
その理由は、AWで打つ場合、ある程度ふんわりとボールが上がる弾道になるので、バンカーなどの障害物を超えてグリーンに乗せるようなシーンにも対応できて、しかも(忍三郎的には)サンドウェッジに比べて扱いが簡単だからです。
にんゴルでは、グリーン周りで使うクラブは基本的にアプローチウェッジ1本、そして状況に応じて2種類の打ち方を使い分けてグリーンオンを狙っていく、という方法をおすすめしています。詳しくはこちらをどうぞ。
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アプローチウェッジの方は、「得意クラブ」というより、「基本それしか使わないクラブ」と言った方が正しいかもしれません。
今回ご紹介している「セカンドショット用」と「アプローチ用」の他に、170ヤードを超える長距離用でも1本信頼できるクラブがあると、更にプレーの組み立てがしやすくなると思います。
「得意クラブ」の留意点
選び方・使い方は自由
今回ご紹介したおすすめのクラブや、その活用方法は、あくまでも忍三郎の感覚や経験に基づくひとつの提案に過ぎませんので、これらが絶対的に正しいと言うつもりは全くありません。
大切なことは、たとえば「初心者はXX番アイアンだけ練習すればいい」とか、誰かに言われたことを鵜呑みにせずに、自分自身の感覚やコース戦略にしたがって、つまり自分なりの根拠をしっかり持って「得意クラブ」を選ぶこと、そして、ラウンドの時に実際にそのクラブを意識的にたくさん使っていくことです。
そうすることで、きっとスコアを改善できるはずです。
「得意クラブを作ってみたけどスコアが良くならない」ということがあっても慌てる必要はありません。
たとえば、自分が8番アイアンを「軸」にしたつもりが、思ったような結果が出なかったとしましょう。
そんな時は、ラウンドの内容について振り返ることで、解決策も見えてきます。
たとえばこんな感じです。
→ ショットのスキル不足が原因。得意クラブの選択は自分のラウンド戦略にマッチしていると確信を持って、練習を続けていけばOK。
「8Iは上手に打てたけれど出番が少なかった」
→ クラブの振り方が悪いのではなく、コース戦略の考え方に改善の余地あり。8番アイアンの出番をもっと増やす作戦を考えればOK。どうしても出番が増えないなら、得意クラブの選択を見直す。
本当に大切なのは、「軸」として選ぶクラブの種類ではなく、自分自身がその選択の意図をはっきりと自覚できているかどうか、だと思います。
いつかはすべてのクラブが打てる
「得意クラブ」を中心にプレーしていると、いつまでも苦手なクラブがあって進歩しないんじゃないか、という不安を感じる方がおられるかもしれません。
しかし、そんな心配はありません。
たとえば、8番アイアンを得意クラブとしてプレーしているうちに、それに近い7番アイアンや9番アイアンのショットも、自然と磨かれてきます。
ゴルフを続けていれば、誰しもいつかはすべてのクラブをある程度使いこなせるようになるものです。
今回の「得意クラブ」のお話は、そこに至る過程の中で、せっかくなら早い段階から良いスコアを出し始められるような努力の仕方をしましょう、というご提案だと思っていただければいいかなと思います。
まとめ
- 「セカンドショット用」と「グリーン狙い」用に各1本の「得意クラブ」を作ろう。
- 「得意クラブ」を、コース戦略の軸として、なるべく頻繁に使っていこう。
- 忍三郎のおすすめは、「7番アイアン or 8番アイアン」と「アプローチウェッジ」。